FXのレンジ相場とは?見分け方や活用方法を紹介!

「レンジ相場」とは一定の範囲(レンジ)内で価格が上下する相場のことです。「レンジ相場はFX相場の7割を占める」ともいわれているため、レンジ相場を上手に活用することで、安定的なパフォーマンスに寄与するかもしれません。

そこでこの記事では、レンジ相場に関する以下の項目について詳しく解説していきます。

【この記事を読むとわかること】

  • レンジ相場の基礎情報
  • レンジ相場の見分け方
  • レンジ相場の活用方法・活用ポイント

FXのチャートにたびたび現れるレンジ相場について学んでいきましょう。

レンジ相場とは?

レンジ相場とは?

レンジ相場とは、一定の範囲(レンジ)内で価格が上下に変動する状態のことです。売り手と買い手の需要が釣り合っている状態ともいえます。また、上下する価格があたかも箱の中に収まって動いているように見えることから「ボックス相場」とも呼ばれます。

レンジ相場が発生する理由は「投資家が相場の方向性を見出せていないため」などが挙げられます。例えば、為替変動の材料に乏しい場面や重要な経済指標の発表前などは、投資家は価格が上下どちらに動くのかを様子見していることが多いため、レンジ相場になりやすいといわれています。

そのほか、相対的に取引量の少ない時間帯の「8時~16時(東京時間)」や、経済的・地理的に近接する「ユーロ/英ポンド」「豪ドル/NZドル」などの通貨ペアは、レンジ相場を形成しやすい傾向にあります。

なお、レンジ相場において、レンジの下限や上限を価格が突破することを「ブレイク」といいます。このブレイクが起こると、様子見していた投資家が一斉に注文をし始め、ブレイクした方向に価格が一気に動き出すことがあります。レンジ相場のブレイク時は、利益を大きく伸ばすチャンスといえるでしょう。

レンジ相場の見分け方

レンジ相場の見分け方

相場にはレンジ相場のほかに、価格が上下どちらかの方向に継続的に動く「トレンド相場」があります。ここではトレンド相場と比較しつつ、以下3つのテクニカル指標を用いたレンジ相場の見分け方を解説します。

  • 移動平均線
  • ボリンジャーバンド
  • RSI

なお、あるテクニカル指標ではレンジ相場だと判断できたとしても、それ以外のテクニカル指標はレンジ相場を示唆していないケースも起こり得ます。特に使用するテクニカル指標が多すぎると、そうした矛盾が生じやすくなります。その場合は自身にとって使いやすいテクニカル指標に絞って利用してもいいでしょう。

移動平均線

移動平均線

移動平均線とは、一定期間における価格の平均値を結んで折れ線グラフにしたものです。例えば「25日移動平均線」は、当日を含めた過去25日間の平均値の推移を示しています。

移動平均線を用いたレンジ相場の見分け方は以下の通りです。

  • レンジ相場:移動平均線が横ばいに推移する傾向が見られる
  • トレンド相場:移動平均線が上下どちらかに傾斜する傾向が見られる

また、移動平均線を用いてレンジ相場をより視覚的に判断するのに有効なのが「レジスタンスライン(上値抵抗線)とサポートライン(下値支持線)を引く」という方法です。

  • レジスタンスライン:高値同士を結んだ線のこと。レンジ相場の上値になりやすい
  • サポートライン:安値同士を結んだ線のこと。レンジ相場の下値になりやすい

両ラインが横ばいであればレンジ相場、傾斜があればトレンド相場であると判断する材料となります。

なお、テクニカル分析における指標が買いサインや売りサインなどのシグナルを発したものの、反対の動きをすることを「ダマシ」といいます。このダマシによって判断を誤ることを回避するため、3点以上の高値あるいは安値を結んでラインを引いてみるとよいでしょう。

移動平均線については以下の記事で詳しく解説しています。
移動平均線とは?

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドとは「価格は高確率でこのバンド(範囲)内に収まること」を視覚的に示したテクニカル指標です。移動平均線の上下に+2σ~−2σの2本ずつの線が引かれ、そのバンドを表します。

この「σ(シグマ)」は、一定期間内にデータが平均値からどの程度ばらついているのかという「標準偏差」を示すものです。ボリンジャーバンドの場合、価格変動の大きさを表しており、ばらつきが高いほどσの数値が高くなっています。

なおボリンジャーバンドでは、バンドの収縮と拡大度合いによりレンジ相場か否かを見分けることができるとされています。

  • レンジ相場:バンドが収縮(スクイーズ)し、価格が横ばいに推移していることが多い
  • トレンド相場:バンドが拡大(エクスパンション)し、価格が上下どちらかの方向に動いていることが多い

ボリンジャーバンドのバンドが収縮・拡大する様子が、レンジ相場を見分ける助けになるでしょう。

RSI

RSI

RSIとは、現在の価格が「売られ過ぎなのか」「買われ過ぎなのか」を0%~100%の数字で表すテクニカル指標です。

具体的には、30%を下回れば売られ過ぎ、70%を上回れば買われ過ぎだと示唆されます。そのため、30~70%で推移している場面は、売られ過ぎでも買われ過ぎでもないレンジ相場、30%・70%を超えた場面ではトレンド相場ととらえる見方もあります。

  • レンジ相場:RSIが30~70%で推移している場合に多い
  • トレンド相場:30%あるいは70%を超えて推移している場合に多い

特に、RSIが50%付近では、小幅なレンジでもみ合いにあるケースが多くあります。なお、RSIの設定期間に決まりはありませんが、一般的には14日間が使われます。

RSIについてより詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
RSIとは?

レンジ相場の活用方法

レンジ相場の活用方法

FX取引において継続的に利益を上げるためには、レンジ相場を上手に活用していくことが大切だといえます。そこで、レンジ相場の活用方法を2つ解説しましょう。

レンジ相場の最中は逆張りをする

一般的にレンジ相場では逆張りが有効だといわれています。逆張りとは、相場の流れとは“逆”の売買を行う投資手法のことです。具体的には、レンジ相場の上値付近で「売り」、下値付近で「買い」の注文を行います。

<逆張りの方法>

  • 上値付近では「売り」でエントリーし、下値付近で「買い」で決済する
  • 下値付近では「買い」でエントリーし、下値付近で「売り」で決済する

例えば、1米ドルがしばらく142.00円~143.00円のレンジで推移しており、上値と下値もその辺りだと判断した場合、「142.00円付近で『買い』、143.00円付近で『売り』」を実行します。こうした逆張りをすれば、レンジが続く限り、コツコツと利益を積み重ねられる可能性があります。

なお、現在の価格が上値付近なのか下値付近なのかは、先述した移動平均線やRSIなどのテクニカル指標を用いて判断するとよいでしょう。

レンジ相場がブレイクした際は順張りする

例えば、1米ドルが142.00円〜143.00円のレンジでしばらく上下していた相場において、142.00円を割る、あるいは143.00円を抜けるようなブレイクが起きたとします。

ブレイク後はブレイク方向に価格が推移する傾向があるため、相場の流れに沿って売買を行う「順張り」が有効だといわれています。

よって、今回の例の場合、以下のような取引が考えられます。

<1米ドル=142.00円~143.00円のレンジをブレイクした場合>

  • 143.00円を抜けた場合:しばらく上昇する可能性が高いため「買い」でエントリーする
  • 142.00円を割った場合:しばらく下落する可能性が高いため「売り」でエントリーする

テクニカル指標も用いながらブレイクするタイミングをよく見計らい、エントリーしましょう。

レンジ相場活用のメリットと注意点

レンジ相場活用のメリットと注意点

レンジ相場の活用には、次のようなメリットと注意点があります。どちらの内容も押さえておくとよいでしょう。

【メリット】比較的リスクを抑えて取引できる可能性がある

レンジ相場は一定のレンジ内で価格が上下するため、一定期間にわたって価格が上昇・下落し続けるトレンド相場と比べると、値動きの幅が限定的になりやすいといえます。

レンジ内で価格が動いている間は、エントリー後に価格が逆方向へ動いたとしてもその値幅が限られるため、損失額を抑えやすいと考えられます。

一方、値動きの幅が限定的であることは、一度の取引で大きな利益を上げるのは難しいととらえる見方もあります。

もしレンジ相場でまとまった収益を得たい場合は、短時間で小さな利益をコツコツと積み上げていく「スキャルピング」や「デイトレード」などの手法を検討するとよいでしょう。

  • スキャルピング:秒~分単位で売買を完結させる投資スタイル
  • デイトレード:数時間~1日の中で売買を完結させる投資スタイル

スキャルピングやデイトレードは、資金を比較的短いスパンで回転させるため、資金効率が良くなります。また取引回数も多くなるため、FX取引の経験を短期間で多く積むこともできるでしょう。

ただし、FX取引では「スプレッド」という取引コストが発生します。取引回数が多くなるほど取引コストがかさむ点には留意しましょう。

スキャルピングについては、こちらで詳しく解説しています。
FXのスキャルピングについて知りたい!

LINE FXの手数料・スプレッドについてはこちらで解説しています。
手数料・スプレッド

【注意点】「ダマシ」に気をつける

レンジ相場を活用して取引をする際に気をつけたいのが、テクニカル分析時の買いサインや売りサインなどのシグナルと反対の動きをする「ダマシ」です。例えば、以下のようなダマシが考えられます。

<ダマシの例>

  • ブレイクしたにも関わらず、すぐに価格がレンジ内に戻る
  • RSIが30%を割ったが、そのまま30%以下で推移する

レンジ相場で有効とされる「レンジ内での逆張り」や「ブレイク後の順張り」を行ったとしても、それがダマシであれば含み損を膨らませてしまいかねません。例えば、価格が上値をブレイクしたと考え「買い」でエントリーするも、そのブレイクがダマシだった場合はすぐに下落してレンジ内に戻ってしまうため、含み損を抱えてしまいます。

ダマシが起きる理由には諸説ありますが、大口投資家による集中的な資金投下も要因の一つだと考えられています。

残念ながら、ダマシを100%回避する方法はありません。ただし「複数のテクニカル指標で分析する」「短期・中期・長期のトレンドが一致しているかを確認する」といった方法により、ダマシかどうかを判断する見方もあります。

よくある質問

よくある質問

最後にレンジ相場に関する「よくある質問」を3つ紹介します。

レンジ相場とはどのような状態ですか?

価格が一定の範囲内で上下している状態です。価格が大きなトレンドを形成せず、上昇しても特定の上限(レジスタンス)に達すると反落し、逆に下落しても特定の下限(サポート)に達すると反発することが多いです。

トレンド相場とレンジ相場の違いは何ですか?

レンジ相場は一定の範囲内で価格が上げ下げする状態であり、価格に方向感はありません。

一方、トレンド相場は上下どちらかの方向に価格が継続的に推移する状態を指し、価格に明確な方向感があるといわれています。

レンジ相場が終了したタイミングの見極め方のヒントはありますか?

レジスタンスラインもしくはサポートラインをブレイクし、しばらくブレイク方向に価格が推移した際には、レンジ相場が終了したととらえる見方もあります。ただし、確実にレンジ相場の終わりを見極める方法はありません。

まとめ

一定の範囲内で価格が上下するレンジ相場は、FX相場でたびたび見られます。レンジ相場であるかどうかは、「チャート上にサポートラインやレジスタンスラインを引く」「ボリンジャーバンドを確認する」など、複数の方法で確認するとよいでしょう。

基本的にレンジ相場の最中は逆張り、ブレイク後は順張りが効果的だといわれています。一方、テクニカル分析における指標が買いサインや売りサインなどのシグナルを発したものの、反対の動きをする「ダマシ」には注意が必要です。

FX初心者やこれからFXを始める方は、レンジ相場の特徴を把握した上で取引を始めてみてはいかがでしょうか。

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監修者情報

伊藤亮太
伊藤亮太

ファイナンシャルプランナー、伊藤亮太FP事務所代表、スキラージャパン株式会社取締役

慶應大学大学院商学研究科修了後、証券会社にて営業・経営企画部門、社長秘書等を行う。また、投資銀行業務にも携わる。現在、資産運用と社会保障(特に年金)を主に、FP相談・執筆・講演を行っている。東洋大学経営学部ファイナンス学科非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師。CFP®認定者(日本FP協会)。

公式サイト:https://www.ryota-ito.jp/

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