チャート分析時に投資家が使用する「ローソク足」。相場の流れが表現されているローソク足への正しい理解は、取引のタイミングを見極める際の一助となるといわれています。そこで本記事では、ローソク足に関する以下の項目について詳しく解説します。
【この記事を読むとわかること】
- ローソク足の基礎情報・種類
- ローソク足の読み解き方
- ローソク足を用いた取引手法
- ローソク足を活用する際の注意点
FXのローソク足とは?

はじめに「ローソク足とは何だろう?」という疑問に答えるべく、押さえておきたいローソク足の基本情報を解説します。
ローソク足とは?
「ローソク足」とは一定期間における「始値・高値・安値・終値(=4本値)」の
4つの価格を1本の棒で表したものです。
その起源については諸説あり、江戸時代に米相場で活躍した相場師・本間宗久によって考案されたとも、明治30年代にダイヤモンド社が開発したともいわれています。
ローソク足には「1分足」や「15分足」「1時間足」「日足」「週足」など、さまざまな「時間足(じかんあし)」があります。例えば「15分足」は15分間における4本値を表し、「日足(ひあし)」は1日の4本値を表しています。
なお「始値・高値・安値・終値(=4本値)」については、このあとの「ローソク足が表すもの」で説明しています。
ローソク足の特徴は、一目で4本値を把握できる視覚的な分かりやすさです。加えて、ほかの値動きの表示方法と比べて値動きを細かく把握できるため、FX取引において多くの投資家に知られています。
ローソク足チャートとは
ローソク足を時系列順に並べたものを「ローソク足チャート」といいます。ローソク足チャートを確認することで、現在の価格の水準や相場の強弱・トレンドなどのヒントが得られるとされています。
例えば、しばらくローソク足が下降を続けていたところに「大陽線(始値から価格が大幅に上昇して高値付近で終えた足)」が出現した場合は、上昇トレンドに転換する可能性があると推測することができます。逆に、高値圏で「大陰線(最初から価格が大幅下落して、安値付近で終えた足)」が表れた場合は、下降トレンドの転換点であると考える人もいるでしょう。
このように、ローソク足チャートにはFX取引の検討・判断材料がふんだんに含まれているのです。
ローソク足の見方

続いて、ローソク足の種類や構成要素などを解説しましょう。
ローソク足の線の種類
ローソク足には「陽線(ようせん)」と「陰線(いんせん)」という2種類の足があります。
- 陽線:始値よりも終値が高いローソク足
- 陰線:始値よりも終値が低いローソク足
陽線と陰線はチャート上では異なった色で表現されており、取引中でも見やすくなっています。
ローソク足が表すもの
先述の通り、ローソク足は「始値・高値・安値・終値(=4本値)」という4つの価格を表しています。それぞれの意味は次のとおりです。
- 始値(はじめね):一定期間のうち最初についた価格
- 高値(たかね):一定期間のうち最も高くついた価格
- 安値(やすね):一定期間のうち最も安くついた価格
- 終値(おわりね):一定期間のうち最後についた価格
つまり、4本値が一目で分かるローソク足を確認することで、その期間内にどのような値動きがあったのかを察することができます。
ローソク足を構成するもの

ローソク足は「実体」「上ヒゲ」「下ヒゲ」という3つの要素で構成されています。
- 実体:始値と終値の間にあたる四角い部分
- 上ヒゲ:実体から上に伸びている線。陽線では高値と終値の差、陰線では始値と高値の差
- 下ヒゲ:実体から下に伸びている線。陽線では始値から安値の差、陰線では安値と終値の差
とくに上ヒゲと下ヒゲはFXが解説される場面での頻出単語のため、覚えておくとよいでしょう。
ローソク足の種類

ローソク足は始値よりも終値が高い「陽線」と始値よりも終値が低い「陰線」の2種類に分けられます。両者はさらに形によってさまざまな種類に分類されます。ここでは代表的なローソク足の種類を紹介します。

小陽線・小陰線
「小陽線(しょうようせん)」は上下に短いヒゲがあり実体も短い陽線、「小陰線(しょういんせん)」は上下に短いヒゲがあり実体も短い陰線のことです。どちらも「コマ」と呼ばれることもあります。ともに、価格の方向性が定まらない場面で現れるといわれており、トレード判断として「様子見」とする投資家もいます。
大陽線・大陰線
「大陽線(だいようせん)」とは、始値から価格が大きく上昇し、高値付近で終値をつけた足、「大陰線(だいいんせん)」は、始値から価格が大幅に下落し、安値付近で終値をつけた足のことです。両者ともに実体が他のローソク足と比べて明らかに大きい点が特徴です。
大陽線は買い方の勢いが強いことを示唆しており、とくに安値圏で大陽線が出現した場合は、そこが上昇トレンドへの転換点になることがあります。一方、大陰線は売り方の勢いが強いことを表しており、とくに高値圏で大陰線が現れた場合は、そこが下降トレンドの転換点になるケースがあります。
なお、大陽線および大陰線と同じような値動きをした結果、とくに上下にヒゲができなかった陽線と陰線をそれぞれ「陽線坊主」「陰線坊主」といいます。陽線坊主は引き続き買いが継続すること、陰線坊主は売りが継続することを示唆するとされています。
上影陽線・上影陰線
上ヒゲの長い陽線と陰線をそれぞれ「上影陽線(うわかげようせん)」および「上影陰線(うわかげいんせん)」といいます。両者は高値圏と安値圏のどちらで出現したかによって、解釈および見通しが異なる点に注意が必要です。
出現した価格水準 | 解釈 | 見通し | |
---|---|---|---|
上影陽線 | 高値圏 | 買い方に勢いがあったものの、売りに押された | 下降 |
安値圏 | 売り方に押されたものの、最後は買い方が勝った | 上昇 | |
上影陰線 | 高値圏 | 買い方に勢いがあったものの、最後は売り方が勝った | 下降 |
安値圏 | 最後は売り方が勝ったものの、買い方の勢いが出てきている | 上昇 |
上影陽線もしくは上影陰線が現れた際には、テクニカル指標などを用いて現在の価格が高値圏なのか、あるいは安値圏なのかを判断する材料にしましょう。
また、短い実体と長い上ヒゲを持ち、下ヒゲがほぼないローソク足のことを「トンカチ」といい、上影陽線・上影陰線の一種とされています。高値圏でトンカチが出現した場合は、そこが下降トレンドへの転換点、安値圏に現れた場合はそこが上昇トレンドへの転換点になる可能性があります。
下影陽線・下影陰線
長い下ヒゲのある陽線と陰線をそれぞれ「下影陽線(したかげようせん)」および「下影陰線(したかげいんせん)」といいます。解釈および見通しは以下の通りです。
出現した価格水準 | 解釈 | 見通し | |
---|---|---|---|
下影陽線 | 高値圏 | 最後は買い方が勝ったものの、売り方の抵抗も強かった | 下降 |
安値圏 | 一時売られたものの、最後は買い方が勝った | 上昇 | |
下影陰線 | 高値圏 | 買い方に勢いもあったが、最後は売り方が勝った | 下降 |
安値圏 | 最後は売り方が勝ったものの、買い方の勢いも強かった | 上昇 |
このように下影陽線および下影陰線を分析する際も、現在の価格水準を踏まえることが重要です。
なお、下影陽線・下影陰線の一種に「カラカサ」があります。これは、上ヒゲがなく長い下ヒゲを持つローソク足のことです。カラカサが高値圏で出現した場合は上昇トレンドの終了、安値圏で現れた場合は上昇トレンドへの転換を示唆しているといわれています。
十字線(寄引同事線)
「十字線(じゅうじせん)」とは、上ヒゲと下ヒゲがほぼ同じ長さかつ始値と終値が同じ価格のローソク足のことです。その名の通り十字の形をしており、「寄引同事線(よりひきどうじせん)」とも呼ばれます。
十字線は「買い手と売り手が拮抗していること」を表しており、出現した水準によって解釈および見通しが異なります。
価格水準 | 解釈 | 見通し |
---|---|---|
高値圏 | 買いの勢いが止まった | 下降 |
安値圏 | 売りの勢いが止まった | 上昇 |
十字線は相場転換を示唆するケースもあるため、出現時はトレードチャンスになることもあります。
また、始値と終値が同じ点は十字線と共通しているものの、上ヒゲと下ヒゲの長さの異なる「トンボ」と「トウバ」というローソク足もあります。
- トンボ:始値と終値が同じで下ヒゲが長い、T字型のローソク足。安値圏で現れた場合は下降トレンドからの転換を示唆している可能性あり
- トウバ:始値と終値が同じで上ヒゲが長い、逆T字型のローソク足。高値圏で現れた場合は上昇トレンドからの転換を示唆している可能性あり
トンボとトウバも十字線と同様、相場の転換を示している可能性があります。
ローソク足を組み合わせたパターン

ローソク足を組み合わせて分析することで、より詳しく相場を捉えることが可能ともいわれています。ここでは代表的な組み合わせパターンとして、「包み線(抱き線)」と「はらみ線」について解説しましょう。
包み線(抱き線)

「包み線」とは、1つ前のローソク足が2本目のローソク足の中に丸ごと包み込まれているローソク足の組み合わせのことです。大きさは「1本目のローソク足<2本目のローソク足」となっています。
包み線が示す見通しは、出現した水準や1本目と2本目の組み合わせによって異なります。
出現した価格水準 | 包み線の組み合わせ | 解釈 | 見通し |
---|---|---|---|
安値圏 | 1本目:陰線 2本目:陽線 | 売り方の勢いは2本目のローソク足の安値で止まった | 上昇 |
高値圏 | 1本目:陽線 2本目:陰線 | 買い方の勢いは2本目のローソク足の高値で止まった | 下降 |
包み線を用いることで、トレンドの転換点を分析することができます。
はらみ線

「はらみ線」とは、1つ前のローソク足が2本目のローソク足をすっぽり包んでいるローソク足の組み合わせのことです。大きさは「1本目のローソク足>2本目のローソク足」となり、包み線とは逆の並びになります。
はらみ線も包み線と同様、発生した水準および1本目と2本目の組み合わせによってその後の見通しが異なります。
出現した価格水準 | はらみ線の組み合わせ | 解釈 | 見通し |
---|---|---|---|
安値圏 | 1本目:陰線 2本目:陽線 | 売り方の勢いが失速してきた | 上昇 |
高値圏 | 1本目:陽線 2本目:陰線 | 買い方の勢いが失速してきた | 下降 |
ローソク足を用いたFXの取引手法

ローソク足を用いたFXの取引手法には、「プライスアクション」や「酒田五法(さかたごほう)」があります。両者は別々の理論体系を持つ手法ですが、組み合わせて用いることでより正確に相場を分析できる可能性があります。ぜひ両者の手法について学んでみましょう。
プライスアクション
「プライスアクション」とは、ローソク足の動きから値動きを予想する手法です。後述する「酒田五法」と異なり海外で発達した手法で、値動きの流れを重視する点が特徴です。
代表的なプライスアクションとして、以下が挙げられます。
<売りと買いの拮抗状態を示すプライスアクション>
- インサイド:直前のローソク足の範囲内にすっぽり収まったローソク足
- アウトサイド:直前のローソク足をすっぽり収めたローソク足
<トレンドの強弱を判断し得るプライスアクション>
- スラストダウン:直前のローソク足の安値を最新のローソク足の終値が下回っていること。連続して発生していれば、強い下降トレンドであることが示唆される
- スラストアップ:直前のローソク足の高値を最新のローソク足の終値が上回っていること。連続して発生していれば、強い上昇トレンドであることが示唆される
<トレンド転換を示唆するプライスアクション>
- 弱気リバーサル:一時は前日高値を上回るものの、その後下落に転じ、終値が前日の終値または安値を下回ること。下降トレンドへの転換サインと捉えられる
- 強気リバーサル:一時は前日安値を下回るものの、その後反転し、終値が前日の終値または高値を上回ること。上昇トレンドへの転換サインと捉えられる

プライスアクションを用いることで、相場の強弱を見極めるヒントを得られるでしょう。
酒田五法
「酒田五法」とは、江戸時代に活躍した『相場の神様』と呼ばれる本間宗久が考案した、ローソク足を用いた分析手法です。
「三山(さんざん)」「三川(さんせん)」「三空(さんくう)」「三兵(さんぺい)」「三法(さんぽう)」という5つの基本パターンを用いて、売買のタイミングを見極めます。
- 三山:価格が上げ下げを3回繰り返して3つの天井(山)をつけること。相場の天井が示唆される
- 三川:価格が上げ下げを3回繰り返して3つの底(谷)をつけること。相場の底が示唆される
- 三空:3つの窓(ローソク足とローソク足のすきま)ができること。酒田五法では三空が出現した際にはトレンドと逆の売買のシグナルとなる
- 三兵:陽線あるいは陰線が3本続くこと。陽線の場合は買いシグナル、陰線の場合は売りシグナルとなる
- 三法:短期間に上昇と下降を繰り返すこと。レンジ相場では取引を休み、相場がレンジから離れて動き出したら動いた方向に仕掛ける
「坂田五法」基本5パターンのチャートの形

酒田五法は江戸時代につくられた手法ですが、現在も多くの投資家に愛用されています。自身のスタイルに合うかどうか、一度試してみても良いでしょう。
なお、FX取引に役立つテクニカル分析については、以下の記事でも解説しています。
FXのテクニカル分析とは?メリット/デメリットや指標の種類について解説!
FXでローソク足を活用する際の注意点

ローソク足からは、相場見通しに関するさまざまな示唆を得ることができます。しかし、テクニカル分析における指標が買いサインや売りサインなどのシグナルを発したものの、反対の動きをする「ダマシ」が発生することも少なくありません。
例えば、セオリーでは「安値圏で大陽線が出現した場合は、上昇トレンドへの転換点になる可能性がある」といわれていますが、実際には価格の下落が続くこともあります。
重要なのは、ローソク足のセオリーを偏重するトレードをしないことです。状況に応じてテクニカル指標を用いたり、複数の時間足で分析したりして、ダマシを回避しましょう。
また、投資家のトレードスタイルによって、狙う値幅や分析に適した時間軸は異なります。そのため、自身のトレードスタイルに合致した時間足を用いることも大切です。
例えば、秒~分単位で売買を完結させる「スキャルピング」であれば、1分足もしくは5分足が、数日~数週間単位で売買を完結させる「スイングトレード」であれば、日足や週足が適切だといわれています。
投資スタイルについてはこちらで詳しく説明しています。
投資スタイルを決めよう
よくある質問
最後にローソク足に関するよくある質問を2つ紹介します。
平均足とローソク足の違いは何ですか?
始値と終値の算出方法が異なります。また、平均足のほうが陽線・陰線が連続しやすいため、視覚的にトレンドを把握しやすいでしょう。
関連記事:FXのチャートの見方|チャートの種類や活用の注意点についても解説!
ローソク足とバーチャートの違いは何ですか?
実体(始値と終値の間を示す四角)があるかないかです。バーチャートには実体は存在しません。

まとめ
一定期間における始値や安値などを4つの価格を表したローソク足からは、さまざまな事柄を読み取ることができます。その種類や組み合わせを知ることで、トレンドの強さや相場の転換点を見極める際の助けになる可能性があります。ただし、テクニカル分析における指標が買いサインや売りサインなどのシグナルを発したものの、反対の動きをする「ダマシ」も起こり得る点には注意しましょう。
ローソク足の動きや意味を意識しながら、FX取引に臨んでみてはいかがでしょうか。
関連記事:FXのチャートの見方|チャートの種類や活用の注意点についても解説!
初心者から上級者まで使いやすさにこだわったLINE FXの取引ツールはこちら
取引ツール
新規口座開設+条件達成で5,000円プレゼント
取引画面はこちら
新規口座開設+条件達成で5,000円プレゼント
取引画面はこちら