
数時間から1日で売買を完結させるFXの「デイトレード」。短期間で利益を積み重ねられる点に魅力を感じて、「やってみたい」と思う初心者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、FXのデイトレードのメリット・デメリットや取引時のポイントなど、初心者がデイトレードを始める前に知っておきたい基本の「き」を解説します。
【この記事を読むとわかること】
- FXのデイトレードの概要
- FXでデイトレードを行うメリット・デメリット
- FXのデイトレードに向いている人
- FXのデイトレードを行うポイント
- FXのデイトレードを始める際の注意点
FXのデイトレードに挑戦してみたい方は、ぜひ参考にしてください。
FXのデイトレードとは

まずは、FXのデイトレードの概要や、デイトレード以外の取引スタイルについて解説します。
デイトレードとは
デイトレードとは、数時間から1日の中で売買を完結させる取引スタイルのことです。例えば、朝8時にエントリーしたポジションを昼の12時には決済をする、といった取引手法です。一般的には「短期売買」に分類され、短期的な相場の変動を見極め、コツコツと利益を積み上げていくスタイルになります。
デイトレード以外の取引スタイル
デイトレード以外の取引スタイルは、ポジションの保有期間に応じて以下のように分類されます。
<保有期間別 取引スタイル>
- スキャルピング:数秒~数分という超短期でポジションを決済するスタイル
- デイトレード:数時間~1日で売買を完結させるスタイル
- スイングトレード:数日~1週間程度で売買を完結させるスタイル
- ポジショントレード:数週間~数ヵ月程度で売買するスタイル
スキャルピングは、デイトレードよりもさらに短い時間で細かく利益を積み上げていくため、秒単位で売買を行う瞬発力や判断力が求められます。
一方、スイングトレードとポジショントレードは、デイトレードよりもポジションの保有時間が長いことから、値幅が大きく変動し、デイトレードと比べて利益や損失が大きくなる可能性があります。したがって含み損に耐えるメンタリティも求められます。
このように、取引スタイルによって求められる資質が異なるため、自身に合った取引スタイルを探すことが大切です。
関連リンク:投資スタイルを決めよう
FXでデイトレードを行う3つのメリット

FXでデイトレードを行うメリットは、主に以下の3つです。
短期間で利益を積み重ねることができる
デイトレードは、数時間〜1日という短期間で利益を積み重ねることができます。
デイトレードよりも保有時間の長いポジショントレードの場合、利益が確定されるまでに1週間から数ヵ月程度の期間がかかります。その期間内に利益を確定するチャンスがあったとしても、ポジション保有を継続するのが基本です。
その点、デイトレードでは数時間毎に利益確定を行って、利益を積み重ねることも可能です。一日に複数回の取引を行うことで資金を効率よく回転させられる点は、デイトレードの大きなメリットでしょう。
保有時間が短いため為替変動リスクが小さい
FXでは、各国の要人発言や政治イベントなど、価格変動につながるようなイベントが多数あります。しかし保有期間が短いほど、こうしたイベントに触れる可能性が低くなるため、ポジション保有中の値動きを抑えられる傾向があります。
したがって、保有時間が短いデイトレードは大きな利益を狙いにくいものの、損失を被ったとしてもその金額を抑えられる傾向があります。そのため、デイトレードは「含み損を見るのが辛い」という投資家にとっては魅力に感じやすいでしょう。
スワップポイントの影響を気にしなくてよい
スワップポイントとは、2ヵ国の通貨の金利差で生じる利益や損失のことです。「高金利通貨買い+低金利通貨売り」をした場合にはスワップポイントが付与されますが、逆に「高金利通貨売り+低金利通貨買い」をした場合には、スワップポイントを支払うことになります。
意識したいのは、スワップポイントは「ポジションを翌営業日に持ち越さなければ発生しない」という点です。スワップポイントを受け取れる場合は問題ないでしょう。しかし、スワップポイントを支払う場合には、ポジションに応じて、支払いが発生していることを認識しておく必要があります。
その点、デイトレードはポジションを翌営業日以降に持ち越さないため、スワップポイントの支払いを気にせず、目の前の取引に集中することができます。
FXでデイトレードを行う3つのデメリット

続いて、FXでデイトレードを行うデメリットも見ていきましょう。
取引回数が多くなるため、取引コストが高くなる
FXの取引にかかる実質的なコストを「スプレッド」といいます。これは「通貨を買う時のレートと通貨を売る時のレートの差」です。スプレッドは取引の度に発生するため、スイングトレードやポジショントレードと比べて取引回数の多いデイトレードは、相対的にコスト負担が大きくなりやすい点がデメリットと言えます。
コスト負担をなるべく軽減するためには、スプレッドの狭いFX会社を選んで取引することが重要です。また、スプレッドは取引する時間帯によっても変わるため、なるべくスプレッドが広がる時間帯を避けてデイトレードを行うことも意識しましょう。
関連リンク:FXのスプレッドとは?
関連リンク:手数料・スプレッド
市場の動きをこまめに追わなければならない
基本的に、スイングトレードは1日1〜2回程度、ポジショントレードは1週間に数回程度の頻度で為替レートをチェックできれば、取引上大きな問題は起こりにくいとされています。
しかしデイトレードの場合、取引している最中はなるべく為替レートの動きをチェックしておく必要があります。ごく短い時間で小さな利益を上げていくのが、デイトレードの特徴だからです。
とはいえ、24時間ずっと為替の値動きを追っている必要はありません。取引する時間帯を限定し、その時間だけは取引に集中するとよいでしょう。
1度の取引で大きな利益が得づらい
デイトレードは1度の取引では大きな利益は狙いづらくなります。FXの利益の源泉は「為替レートの変動幅」ですが、保有期間が短いほど、為替レートに大きな影響を及ぼし得るイベントに遭遇する回数が少なく、為替の変動幅は小さくなる傾向にあるためです。よって、一日に何度も取引を重ねる必要があります。
FXのデイトレードに向いている人

1日に何度も売買を行うデイトレードは、人によって向き・不向きがあります。ここでは、FXのデイトレードに向いている人を解説します。
短い期間で利益を狙いたい人
デイトレードは短ければ数時間、長くとも1日で利益を確定させます。そのため「資金効率を高めたい」「含み損にならないうちに決済したい」など、短時間で利益を狙いたい人はデイトレードが向いているといえます。
1日を通して市場の動き見る時間のある人
ちょっとした値動きが売買チャンスになり得るデイトレードでは、少なくとも数十分間隔で為替レートをチェックする必要があります。そのため「1日を通して為替レートの動きを確認できること」はデイトレードを行う上での必須条件といえるでしょう。
翌日に持ち越したくない人
FXは基本的に平日はほぼ24時間取引が可能であり、為替レートは寝ている間も変動しています。人によっては「寝ている間に相場が急変動したらどうしよう」と、不安になることがあります。
その点、デイトレードは1日の中で売買を完結させるため、翌日にポジションを持ち越したくない人に向いている手法だとされています。
集中力や判断力に自信のある人
デイトレードは「集中力」と「判断力」が求められる取引スタイルです。相場の雰囲気の変化や為替レートの変動を見逃さずに、その変化に応じた瞬時の売買判断が必要になるからです。
とはいえ、この二つはデイトレードの経験を積み重ねていく中で培われる能力でもあります。今、集中力と判断力がないからといって、デイトレードに取り組むのを諦める必要はないでしょう。
FXのデイトレードを行うポイント

デイトレードで利益を得るためには、次の4点を押さえておくことが重要です。
ボラティリティが大きくなりやすいタイミングを把握しておく
ボラティリティとは、値動きの変動率のことです。このボラティリティが大きくなりやすい、つまり値動きが激しくなりやすいタイミングを把握しておくことで、「そのタイミングでのトレードを避ける」「チャンスと捉えて積極的にトレードする」などと判断することが可能です。
このタイミングを把握していないと、思わぬ価格変動に巻き込まれてしまうリスクが高まります。特に、価格変動が大きくなりやすい時間帯は以下の通りです。
- 日本時間21時頃~翌2時頃:ロンドン外国為替市場とニューヨーク外国為替市場の取引時間帯が重なるため
- 重要な経済指標やイベントの結果発表後:米国の雇用統計発表、日本銀行の金融政策決定会合など
このほか、ロンドン外国為替市場がオープンしたあとの16時〜19時や上海外国為替市場が動き出す10時半〜11時半も、比較的相場の変動が大きくなりやすい時間帯です。
関連リンク:ボラティリティって何?
取引する通貨ペアのボラティリティを確認しておく
ボラティリティの大きさはタイミングだけでなく、通貨ペアによっても異なります。一般的に、メジャーな通貨ペアは流動性が高く、価格が安定しやすいため、ボラティリティは小さくなるとされています。一方マイナーな通貨ペアは流動性が低く、価格が急変動しやすいため、ボラティリティが大きくなる傾向があります。
ボラティリティの大きな通貨ペアは、利益・損失とも大きくなる可能性があり、突発的な価格変動も起こりやすいため、中・上級者向けの通貨ペアだといえるでしょう。
逆にボラティリティの小さな通貨ペアは、値動きが相対的に安定しています。FX初心者でも比較的落ち着いて取引ができる可能性があります。ただし、ボラティリティの大きな通貨ペアと比べると、利益も損失も少なくなる傾向があります。
<ボラティリティの大きな通貨ペア例(価格変動が大きいマイナー通貨ペア)例>
- メキシコペソ/円
- トルコリラ/円
- 南アフリカランド/円
<ボラティリティの小さな通貨ペア(価格変動が安定しているメジャー通貨ペア)例>
- 米ドル/円
- ユーロ/円
- ユーロ/ドル
ただし、ボラティリティの小さいとされる通貨ペアでも、時期によってはボラティリティが大きくなる場合もあります。
上記を参考に、自身にとって適切なボラティリティの通貨ペアを見つけましょう。
関連リンク:通貨ペアの基礎知識
関連リンク:各通貨の特徴を知ろう
取引する通貨ペアの取引量を確認しておく
取引量が多い通貨ペアはそれだけ注文数が多いため、希望のタイミングと価格で売買できる可能性が高くなります。またスプレッドも狭い傾向があります。逆に、取引量が少ない通貨ペアは、希望とそぐわない売買が成立してしまうリスクが高くなります。
デイトレードは細かな値幅を取っていくスタイルのため、取引量が多くてスプレッドが比較的狭い、「米ドル/円」「ユーロ/円」などの通貨ペアがおすすめです。
関連リンク:通貨ペアの選び方
テクニカル分析を活用する
FXの分析手法は「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」に大別されます。
- テクニカル分析:過去の値動きや出来高などを分析し、将来の価格動向を予測する手法
- ファンダメンタル分析:政治動向や経済情勢など基礎的な要素に基づいて将来の価格動向を分析する手法
ファンダメンタル分析は政治や経済の動向など、今日明日で急激な変化が起こりにくい要素が分析対象であるため、中長期的な相場トレンドを捉えるのに向いています。一方のテクニカル分析は、頻繁に変化する値動きや出来高などが分析対象であるため、デイトレードのような短期取引にも有効です。
また、テクニカル分析はファンダメンタル分析と比べて、経済の知識が豊富でなくとも活用可能です。これからデイトレードを始めるなら、テクニカル分析の知識を身に付けておくとよいでしょう。
関連リンク:FXのテクニカル分析とは?メリット/デメリットや指標の種類について解説!
関連リンク:FXのファンダメンタル分析とは?テクニカル分析との違いや、分析対象、注意点を解説!
初心者がFXのデイトレードを始める際の注意点

FX初心者がデイトレードに挑戦する場合、どのような点に注意すべきでしょうか。ここでは3つの注意点を解説します。
少額で低いレバレッジから取引をスタートする
デイトレードに限らず、FXで安定的な利益を出すためには、投資経験を積むことが必須です。そしてそのためには、FX市場からの退場を避けなければなりません。
はじめは、1,000通貨〜などの少額かつ1〜5倍程度の低レバレッジで取引をスタートし、退場リスクを下げつつFXの経験を積むことに注力してみましょう。
自身のルールを設けて取引を行う
感情的かつ根拠のない取引を予防するためにも、取引ルールを設けた上で売買を行いましょう。とくに損切りおよび利益確定のルールは必ず決めておきます。
<損切り・利益確定のルール例>
- ○%上がったら(下がったら)損切りもしくは利益確定を行う
- 含み益(含み損)が○○円になったら損切りもしくは利益確定を行う
損切り・利益確定のルールは、感情を排して機械的に定めましょう。もしルールを守る自信がない場合には、あらかじめ決済価格を指定し、為替レートがその価格になったら自動的に決済する「指値注文」や「逆指値注文」を入れておくのがおすすめです。
まずは米ドル/円から始めるのが無難
初心者は、最もメジャーな通貨ペアである「米ドル/円」から売買を始めてみてはいかがでしょうか。理由は以下の2点です。
- 取引量が多く、スプレッドも狭いため、小さな値幅を取るデイトレードと相性が良い
- デイトレードの参考となる投資情報が豊富で、初心者でも始めやすい
なお、米ドル/円の売買ポイントについては、以下で詳しく解説しています。
関連リンク:通貨ペア特集【実践編】米ドル/円 いつ売買したらよい?
よくある質問
最後に、FXのデイトレードに関する「よくある質問」を紹介します。
デイトレードを始めるのにどのくらいの資金が必要でしょうか?
LINE FXの場合、例えば米ドル/円は約6,000円(※1)、ユーロ/円は約7,000円(※2)の必要証拠金を入金すれば始められます。特にFX経験の浅い方は、少額で取引を行いリスクを抑えるようにしましょう。
※1:1米ドル=150円で計算
※2:1ユーロ=175円で計算
取引に有効な時間帯はありますか?
主要な外国為替市場である東京市場(主な取引時間:8時~17時)、ロンドン市場(同:夏時間は16時〜翌1時、冬時間は17時~翌2時)、ニューヨーク市場(同:夏時間は21時〜翌4時、冬時間は22時~翌5時)の取引時間帯が一般的です。
まとめ
数時間から1日で売買を完結させるデイトレードは、短時間で利益を積み上げたい方や、翌日までポジションを持ち越したくない方などに向いている取引スタイルです。
これからFXのデイトレードを始める際は、大きな損失を出すリスクを抑えながら、なるべく多くの取引経験を積むよう意識しましょう。そのためには少額かつ低レバレッジでの取引や取引ルールの遵守が大切です。取引にあたっては、テクニカル分析の活用も検討しましょう。
まずは取引量の多い米ドル/円などの取引から始め、デイトレードの感触をつかんでみてはいかがでしょうか。
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