FXのスプレッドとは?

スプレッドはFXの代表的なコストで、スプレッドによってFXの損益は大きく変わります。本記事では、FXのスプレッドについてご説明します。

FXのスプレッドとは?

FXのスプレッドとは?

FXのスプレッドとは?

FXのスプレッドとは、「通貨を買う時のレートと通貨を売る時のレートの差」のことです。例えば、テレビなどで「1ドル100円10銭から100円13銭の間で取引されています」などという報道を聞いたことがある方は多いでしょう。これがスプレッドのことを示しています。この場合、1ドル購入するには100円10銭で、1ドル売却するレートは100円13銭ということです。

スプレッドが低ければ低いほど、余計なコストがからないということになります。通貨ペアによってスプレッドは異なり、スプレッドは金融機関の判断で自由に決めることが可能です。そのため、FX業者によって同じ通貨ペアでもスプレッドが大きく変わる場合がありますので、多くの業者を比較しましょう。

スプレッドの単位

スプレッドの単位

スプレッドの単位は「銭」と「pips」の2種類です。「銭」は通貨ペアのうち一方が日本円の場合に、「pips」は日本円以外の通貨ペアの場合に用いられます。1銭というと、微々たる額のように感じられるかもしれません。しかし、FXでは1万通貨、10万通貨といった売買を行うこともあるので、影響が大きくなります。

米ドル/円の通貨ペアで、10万米ドルの取引をした場合を例に考えてみましょう。スプレッドが0.2銭の場合のコストは200円ですが、0.5銭かかる場合は500円のコストがかかります。このように、スプレッドが違うと大きくコストが変わるので注意が必要です。特に、スキャルピングなど取引回数が多くなるトレードを行う場合は、よりスプレッドにこだわるようにしましょう。

スプレッドによる取引コストの計算方法

スプレッドによる取引コストの計算方法

FXのスプレッドは、以下の計算式で計算できます。

【計算式】通貨数×スプレッド

米ドル/円の取引コストを計算してみましょう。1,000通貨で0.5銭のスプレッドがかかる場合、1,000×0.5銭=50円と計算できます。スプレッドによる取引コストの計算は非常に簡単にできますので、ぜひ参考にしてください。また、自分での計算が難しければ、自動で計算してくれるツールもあるので活用すると良いでしょう。

pipsとは?

pipsとは?

FX取引を行うと、よくpips(ピップス)という言葉が出てきます。FXにおけるpipsとは、取引最小単位のことです。このpipsは、クロス円取引とストレート取引で単位が異なります。

クロス円取引とは円が入っている通貨ぺアです。例えば、ドル円などが該当します。
ストレート取引はドルが絡む取引でドルユーロなどが該当します。

クロス円の場合は1銭が最小単位になりますので、1pips=1銭です。
・1pip=0.01円(1銭)
・10 pips=0.1円(10銭)
・100 pips=1円(100銭)

これに対してストレート取引では、1pip=0.0001ドル(0.01セント)になります。
・1pip=0.0001ドル(0.01セント)
・10pip=0.001ドル(0.1セント)
・100pip=0.01ドル(1セント)

クロス円からドルストレートかによって、pipsが変わる点に注意してください。

スプレッドが損益に及ぼす影響

スプレッドが損益に及ぼす影響

FXのスプレッドは、外貨預金に比べると決して高くはありません。しかし、それでも損益に影響を及ぼします。米ドル円で10万ドルの取引をする場合で見てみましょう。

・スプレッドが0.2銭の場合

100,000×0.2銭=200円かかります。エントリーして決済すると2回スプレッドがかかるので、合計400円の手数料です。

・スプレッドが1円の場合

100,000×1円=1000円かかります。エントリーして決済すると2回スプレッドがかかるので、合計2,000円の手数料です。

このように、スプレッドは損益に大きな影響を与えますので、各FX会社のスプレッドをしっかり確認しましょう。特に、スキャルピングやデイトレードなど短期間に何度もトレードする取引手法を使う際は、よりスプレッドに注意してください。

スプレッドの決まり方

「店頭FX」と呼ばれるサービスを提供するFX会社は、顧客から受けた注文に応じてインターバンク市場(金融機関向けのマーケット)で売買を行っています。そのため、レートとスプレッドは常に変動しているのです。

スプレッドは、外国為替市場のレートをもとに各FX提供会社が決めています。同じFX会社で同じ通貨ペアを取引しても、常にスプレッドが一定しているわけではありません。FX会社は原則スプレッドを固定し、過度な広がりの影響を避けています。

しかし、相場変動などが起こるとスプレッドが大きく広がる傾向にありますので注意してください。また、いくら狭いスプレッドを提示しているFX会社を使っても、実際にそのスプレッドで取引できなければ何の意味もありません。

提示されているスプレッドを本当に利用できるかどうかは、約定率やカバー先が重要になってきます。どんなに狭いスプレッドを提示しても、実際の約定率が低ければ意味を持ちません。スプレッドを見る際は、約定率の高さにも注目しましょう。

また、カバー先の銀行も重要です。カバー先の銀行とは、スプレッドを提示してくる銀行のことになります。銀行によって提示してくるスプレッドが違いますので、カバー先の銀行の数が多いほど選択肢が増えて有利になるのです。

スプレッドが広がるタイミング

スプレッドが広がるタイミング

国内FX業者の多くは原則固定のスプレッドを使っていますが、スプレッドが広がってしまうタイミングもあります。どのようなタイミングでスプレッドが広がってしまうのか、ここで具体的に解説しますので参考にしてください。

為替市場で大幅な変動が生じた場合

相場が急変すると、スプレッドが大きく広がります。例えば、2020年3月に起きたコロナショックでは、ほとんどの通貨ペアでスプレッドが大きく広がりました。通常ではありえないくらい広いスプレッドになってしまうので、相場急変が起きた時は極力取引をやめましょう。スプレッドだけで、大きな損失を被ってしまう可能性があります。

コロナショックだけではなく、2015年1月に起きたスイスフランショックや2019年1月に起きたフラッシュクラッシュなどでも、大きくスプレッドが広がりました。相場急変がいつ起こるかは分かりませんので、常に証拠金には余裕を持って取引してください。

市場の流動性が下がった場合

早朝の市場など市場参加者が少なくなり、市場の流動性が下がった場合もスプレッドが広がりやすいでしょう。特に、月曜日の窓開けのタイミングなどは、大きくスプレッドが広がる傾向にあります。

また、市場関係者が少ないクリスマスなども流動性が下がり、スプレッドが広くなりがちです。市場の流動性については、ある程度予想ができます。流動性が下がりそうな時は、取引を控えた方が良いかもしれません。

重要な経済指標が発表される時間帯

アメリカの雇用統計やFOMCの発表など、重要な経済指標が発表される時間帯は大きくスプレッドが広がりやすくなります。重要な経済指標については事前に調べられますので、この時間帯に取引するのは避けた方が良いでしょう。

ストップ狩りは本当にあるのか?

ストップ狩りは本当にあるのか?

スプレッドを検索すると、よく出てくるのがストップ狩りです。ストップ狩りとは、FX会社が意図的に相場を動かし、スプレッドを急拡大させてロスカットを誘発させる行為を意味します。

FX会社は利益を出すために、このストップ狩りを行うという噂があります。しかし、国内FX会社の場合、このストップ狩りを行っているという事実はありません。ただし、相場が急変動するとスプレッドが急拡大しますので、資金管理にはくれぐれも注意しましょう。

まとめ

FXのスプレッドについてご説明しました。FXはレバレッジが使えるので、少ない資金でも大きな取引が狙える金融商品です。また、外貨預金に比べて、かなり低いコストで利用することができます。

しかし、低いといってもFXのコストはゼロではありません。スプレッドは、FXの代表的なコストです。スプレッドの違いによって損益は大きく変わりますので、ぜひ複数のFX会社のスプレッドを見比べるようにしましょう。本記事でFXのスプレッドに関する理解を深め、FX取引に役立ててください。

監修者プロフィール

渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。

<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。

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