米国大統領選挙となれば、米ドル/円の動きに関心が向かいがちですが、各候補の経済や外交政策によっては米ドル/円以上に影響を受ける国・通貨もあります。
例えば、前回のトランプ政権時、メキシコに対する強硬な移民政策の実施や中国との貿易摩擦などで、為替市場が大きく動く場面もありました。ここでは2016年のトランプ氏の大統領当選後に、大きく影響を受けたメキシコペソ、ユーロ、豪ドルの動きと、ハリス氏とトランプ氏のいずれかが勝利した場合の各通貨の見通しについて確認します。
MXN/JPY
MXNが注目(影響)されやすい理由
米国の隣国であり、政治、経済的な結びつきが強いメキシコ。前回大統領在任時に、メキシコに対して強硬的であったトランプ氏の再登板があるのか注目されます。
トランプ氏当選以降のMXN/JPY
トランプ氏の当選後、不法移民対策などメキシコに対する強い政策が警戒され、MXN/JPYは上値の重い展開となりました。しかし、その後はトランプ氏の景気刺激策による恩恵をメキシコも受けるとの思惑、メキシコ中銀の利上げ継続や通貨介入政策、日本ではアベノミクスの継続の背景もあり、MXN高JPY安が進む展開となりました。
2016年10月~2017年9月のMXN/JPYの週足チャート
トランプ氏が当選した場合の注目ポイント
減税策などの景気刺激策で米国経済が好調に推移すれば、メキシコ経済にもポジティブ材料となりますが、移民政策や追加関税などの強硬策を発動すれば、MXNの上値を抑える材料となる可能性も。
ハリス氏が当選した場合の注目ポイント
大統領選を前に停滞していた外国企業からの投資が再び活発になれば、メキシコ経済にも好影響。結果としてMXN高が進む可能性も。
EUR/USD
EURが注目(影響)されやすい理由
米国と欧州は、政治・経済・安全保障分野など様々な角度で歴史的に関係が深く、ユーロ圏各国にとって大きな貿易相手でもあります。そのため、米国の大統領選挙は、世界で最も取引されるEUR/USDに大きな影響を与える可能性があります。
トランプ氏当選以降のEUR/USD
トランプ氏の景気刺激策による米国経済への期待と、2016年12月からは米国が金融引締めのための利上げサイクルに入った影響もあり、トランプ氏当選直後はEUR安USD高が進む展開に。しかし、その後はトランプ政権の積極的な財政支出によって市中の米ドルの流通量が増えたことから、当選時を上回るEUR高USD安が進む展開となりました。
2016年10月~2017年9月のEUR/USDの週足チャート
トランプ氏が当選した場合の注目ポイント
ユーロ圏含む各国との貿易摩擦が再燃すれば、景気の下押し要因となる可能性も。また、地政学リスクの高まりによる防衛費の負担増は各国の財政悪化を招きEURの上値を抑える材料となる場合も。
ハリス氏が当選した場合の注目ポイント
バイデン政権の協調路線を引き継ぐとみられおり、大きな政策変更が無ければ今後はECBとFRBの利下げペースが焦点となるか。
AUD/USD
AUDが注目(影響)されやすい理由
豪州は米国と関係が深いですが、経済面では中国が最大の輸出国であり、米中関係の影響を受けやすいです。ハリス氏とトランプ氏のどちらが大統領に選ばれるかが米中関係にも影響を与えるため、注目が集まります。
トランプ氏当選以降のAUD/USD
前回のトランプ政権では中国に対する経済制裁や貿易関税の引上げなど、米中関係が悪化し貿易摩擦が生じました。結果、中国への経済依存度が高い豪州経済への波及が懸念され、AUD/USDの上値は限定される相場展開となりました。
2016年10月~2017年9月のAUD/USDの週足チャート
トランプ氏が当選した場合の注目ポイント
米中の貿易摩擦が再び意識されれば、対中依存度の高い豪州経済の減速が懸念され、AUDの重しとなる可能性も。
ハリス氏が当選した場合の注目ポイント
現政権のインド太平洋地域の協調を重視する姿勢を引き継げば、金融政策の不確実性は後退。高金利を維持するRBAのスタンスに注目が集まる。
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