今年の11月5日の米国大統領選挙では、再選を目指す共和党のトランプ候補と、バイデン大統領に代わって民主党の候補となったハリス副大統領が激突するといった異例の展開になっています。ハリス氏が優勢との見方も多いようですが、2016年にトランプ氏が大統領に当選したように、世論調査が必ずしも選挙結果に直結するとは限らず、選挙結果に注目が集まります。
また、米国の大統領選挙がある年は、米ドル/円が動きやすいと言われており、大統領選挙が実施されることによって米国政治リスクの不確実性が高まることがその背景にあります。ここでは、米国大統領選挙があった年に、米ドル/円が実際にどのような動きをしたのかを確認し、2024年後半の米ドル/円の見通しについても考察します。
過去、米ドル/円の検証
検証方法としては、2000年に入ってから行われた大統領選挙6回を対象として、「選挙結果のまとめ」、「選挙前8-10月の米ドル/円」、「選挙後11,12月の米ドル/円」、「その他傾向」を検証した上で、2024年の米ドル/円の見通しについて考察します。
選挙結果のまとめ
2000年と2004年の選挙では共和党のブッシュ氏が大統領に選ばれました。
そして、2008年と2012年は民主党のオバマ大統領が、2016年には共和党のトランプ氏、2020年には民主党のバイデン氏が大統領に選ばれました。
このように見ると、6回の選挙のうち、民主党が3回、共和党が3回とバランスよく勝利しています。下記の表は、各年の大統領選挙の前である8-10月の3ヵ月間と11,12月の2ヵ月間で米ドル/円の騰落率をまとめています。
選挙前:8-10月の米ドル/円
上記表から確認できるように、大統領選挙年の8-10月の米ドル/円は、6回のうち4回は下落/2回は上昇し、選挙の年の8-10月は米ドル/円が下落する傾向がやや見られました。
この結果からすると、大統領選挙前の米ドル/円は下がりやすいと言えるかもしれません。
選挙後:11,12月の米ドル/円
大統領選挙がある11月と、その後の12月の期間の米ドル/円は、6回のうち3回は上昇/3回は下落と、11,12月の米ドル/円は目立った傾向は見られませんでした。
この結果からすると、大統領選挙後の米ドル/円の動きは、選挙結果よりは経済状況や金融政策等、他の要因に影響されることも考えられます。
また、どちらの党が勝利した場合の米ドル/円の動きについて見てみましょう。
- 民主党勝利:6回の選挙のうち、民主党が勝利したのは3回であり、米ドル/円は2回下落/1回上昇となり、民主党が勝利した場合の米ドル/円はやや下落傾向が見られました。
- 共和党勝利:共和党が勝利した3回のうち、米ドル/円は1回下落/2回上昇となり、共和党が勝利した場合の米ドル/円はやや上昇傾向が見られました。
この結果からすると、民主党が勝利した場合に米ドル/円は下落、共和党が勝利した場合に米ドル/円は上昇する可能性もありますが、検証するためのデータの数が少ないため、更に過去の例も確認する必要もありそうです。
その他傾向:選挙前の動きが後も継続
最後に、選挙前の3ヵ月と選挙後の2ヵ月の米ドル/円の方向が一致するかについて確認します。
6回のうち選挙前に米ドル/円が下落した回数は4回で、選挙後も下落した回数は3回でした。一方、選挙前に米ドル/円が上昇した回数は2回で、選挙後も上昇したのは2回でした。要するに、2000年に共和党ブッシュ氏が勝利した年以外は、5回も選挙前後で米ドル/円の方向が一致していることが確認できます。
2024年の米ドル/円の見通し
本コンテンツの作成時点が10月上旬のため、10月の末までの米ドル/円の動きは反映されていませんが、8月は始値が149円90銭台でスタートし、9月には139円台の年初来安値を更新するなど円高が進む場面もありました。そして、作成時点の現在は、148円台で推移しており、10末には円高と円安のどちらになるかに注目が集まります。
- 8-10月が円高の場合:
上記の検証結果から米ドル/円の動きを予想して見ると、11,12月の米ドル/円は下落する可能性があるように見えます。また、ハリス氏が勝利した場合は、米ドル/円が下落する可能性が更に高まることも想定されます。
一方、トランプ氏が再選を果たした場合、11,12月の米ドル/円は下落する可能性が低下するか、2000年のように上昇することも想定されます。 - 8-10月が円安の場合:
上記の検証結果からすると、11,12月の米ドル/円は上昇する可能性があります。ただ、ハリス氏が勝利した場合は、米ドル/円が上昇する可能性が低下するか、2000年のとは逆パターンである8-10月=円安→11,12月=円高と言った検証結果にはない新しい相場展開の可能性もあります。
一方、トランプ氏が勝利した場合は、 米ドル/円が上昇の可能性が更に高まり、2016年のように米ドル/円が10%以上も上昇する可能性もあります。その場合、米ドル/円は年初来高値の161円台を超えることになるでしょう。
今年は、米国大統領選挙以外にも、日本では石破新政権の誕生、日本の利上げ、米国の利下げなど、様々な要因が米ドル/円に影響し、上下幅の大きい相場展開になっています。そのため、8-10月が円高か円安かの予想すら難しい状況ではありますが、方向が確定した場合は、歴史的な相場パターンが繰り返される可能性があります。10月の終値に注目しつつ、これからの米国大統領選挙の展開と共に、米ドル/円の動きも整理しておけば、年末は収益チャンスが高められるようなヒントが得られるかもしれません。
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