2024年 米国大統領選挙について
2024年の米国大統領選挙は、バイデン大統領が途中で大統領候補から退き、ハリス副大統領が民主党の大統領候補となり、共和党のトランプ前大統領と競うといった異例の展開となっています。米国史上初の女性大統領が誕生するかを含めて、今年の米国大統領選挙について、具体的に見てみましょう。
主な選挙日程
3月5日 |
スーパー・チューズデー 多くの州で同時に予備選や党員集会が行われ、その日の結果が一度に多くの州で発表されます。事実上、その日の勝敗が候補者の選挙戦に大きな影響を与えると思われます。 |
6月27日 |
討論会 バイデン大統領とトランプ前大統領が大統領候補者として討論会が行われました。 |
7月15-18日 |
共和党全国大会 トランプ前大統領が大統領候補者として正式に指名されました。 |
8月19-22日 |
民主党全国大会 ハリス副大統領が大統領候補者として正式に指名されました。 |
9月10日 |
討論会 トランプ前大統領とハリス副大統領が大統領候補者として討論会が行われました。 |
10月1日 |
副大統領候補討論会 各大統領候補者が指名した副大統領候補者間の討論会が行われます。 |
11月5日 |
投票日 大統領選挙の投票日です。全米の有権者が投票を行い、その日の夜までに各州の選挙結果が発表されます。選挙人の過半数を獲得した候補者が次期大統領に選出されます。 |
2025年 1月20日 |
大統領就任式 |
各候補者について
ドナルド・トランプ(共和党)
前大統領
プロフィール
1946年にニューヨークで生まれた実業家で、テレビ番組「ザ・アプレンティス」のホストとしても知られています。2016年に共和党から大統領選に出馬し、45代目米国大統領に就任。政策としては、税制改革や規制緩和、移民政策の厳格化を推進しました。2020年の再選を目指しましたが、敗北しました。
掲げる政策
トランプ候補が掲げる政策のうち、為替市場に影響しそうな政策を紹介します。
◆経済対策
法人税率を15%に引下げると発言するなど、米国の国内製造業の振興と製造業の米国回帰を目指しています。そのため、大規模な減税や公共投資を通じて経済を刺激する政策が考えられます。また、米国人による中国投資への規制強化や外国の企業や政府による米国の特定産業への投資規制を通じて、自国産業を守るためも施策を行うと見られます。
◆貿易政策
中国から米国への輸入品に対して、100%の関税を果たすと発言するなど、米国の貿易赤字の削減や特定国との貿易不均衡の是正を目指しています。特定の産業や国に対して関税を導入または税率変更、貿易協定の再交渉を通じて、米国に有利な貿易の環境作りをすると見られます。
◆為替政策
過去トランプ氏が大統領だった時代は、米ドル高が米国の経済と貿易に悪影響を及ぼすと指摘していました。そのため、トランプ候補が再び大統領になった場合は、米ドル安を誘導するための政策を実施する可能性があります。
トランプ候補が大統領になった場合の米ドル
掲げている政策でも確認できるように、トランプ候補は米国経済を最も優先する政策を実施すると見られます。そのため、大型減税や財政支出、金利の引き下げを通じた景気刺激策を実施した場合、世界中の米ドルの量が増えて日本を含めた各国通貨に対して米ドル安が進む可能性があります。
しかし一方では、景気刺激策を実施した場合は、米国経済が強くなることや再び物価上昇を刺激し、金利引上げの期待感が高まることで、米ドルはトランプ氏の意図に反して高くなるとの見方もあります。
カマラ・ハリス(民主党)
現副大統領
プロフィール
1964年にカリフォルニア州で生まれた政治家で、2021年から副大統領を務めています。サンフランシスコ市検事、カリフォルニア州司法長官を歴任し、2016年には上院議員に選出されました。法執行機関の改革や社会正義、経済格差の解消に取り組み、民主党の主要な声として知られています。
掲げる政策
ハリス候補が掲げる政策のうち、為替市場に影響しそうな政策を紹介します。
◆経済対策
基本的には現在のバイデン大統領の政策を引き継ぐ可能性が高いと言われています。法人税率を28%に引上げる一方で、住宅購入費の補助、食料品価格抑制、児童税額控除等の政策を通じて中間層への支援拡大し、米国国内の経済格差の是正を目指した施策を行うと見られます。
◆貿易政策
公正で透明な貿易関係を重視しており、米国の産業と労働者を守りながら国際競争力を高めることを目指しています。そのため、中国との貿易に関しても、競争を促進しつつも不正な貿易慣行や知的財産権の侵害に対抗する姿勢を示しており、そのための国際的な協力と枠組み作りに取り組むと見られます。
◆為替政策
トランプ氏とは異なり、為替政策に関しての具体的は言及等はありません。バイデン政権と同様に米FRB(連邦準備制度理事会)や財務省の独立性を尊重し、市場原理に則した政策運営を行う事が想定されます。
ハリス候補が大統領になった場合の米ドル
ハリス候補は自由かつ公正な競争、経済不平等の是正などバランスを重視しています。そのため、ハリス氏が大統領になっても中国との貿易摩擦が発生する可能性がある上、米国の中間層を支援するための減税や財政支援などの政策から、米ドルが安くなる局面が想定されます。
しかし、政策の不確実性が低下し、バランスの取れた米国の健全な経済成長が実現された場合は、市場原理に応じて米ドルが高くなる場面も想定されます。
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