ポンド、英予算案に対する思惑で上下
- ポンド、英予算案に対する思惑で神経質に上下
- ポンド、BOEのハト派的な金利据え置きで12月利下げの可能性高まる
- 加ドル、米国との貿易問題の行方を注視
予想レンジ
| 198.50-203.50円 | 107.00-110.00円 |
11月10日週の展望
来週のポンド相場は、英国の雇用データや国内総生産(GDP)などで景気状況を確かめつつ、英予算案に対する思惑で神経質に上下しそうだ。26日発表の秋季予算案について、リーブス英財務相は4日に演説。財務相は、財政運営を巡る憶測に応える形で「公正と機会を軸に据える」と強調。一方、財政に大きな圧力がかかっている現状を率直に認めた。国民保険サービス(NHS)の保護、債務削減、生活費危機への対応を優先課題に掲げ、「インフレを抑制し利下げ環境を整えることで経済成長を支える」と説明。一方で「皆が国の未来のために貢献しなければならない」と述べ、増税の可能性をこれまで以上に明確に示唆した。与党・労働党が選挙で掲げた「所得税・付加価値税(VAT)・国民保険料は引き上げない」との公約には触れず、事実上の見直しをにおわせた点が注目される。リーブス氏は市場に向けても、「鉄の規律とする財政ルールを改めて堅持する」と表明し、国債市場の信認を確保することが不可欠だと訴えた。
市場は、リーブス演説を受けて、財政規律の維持を好感し英10年債利回りは低下したが、財源不足を埋めるために所得税増税に踏み切れば、マニフェスト違反として野党からの攻撃材料になるリスクも指摘される。政治と経済の板挟みの中で、財務相の判断に注目が集まっている。
また、イングランド銀行(英中銀、BOE)は6日、金融政策委員会(MPC)で政策金利を市場予想通りに4.00%で据え置いたことを発表。ただ、MPC委員9人中4人が3.75%への引き下げを主張したことが明らかとなった。議事要旨ではインフレがピークに達したと指摘し、依然として金利は緩やかな低下傾向にあるとのガイダンスが示された。12月利下げの可能性が高まったことはポンドの上値を抑える要因となりそうだ。
加ドルは、米国との貿易問題の行方が注視される。来週、カナダは11日がリメンバランス・デーで祝日となるほか、市場の動意につながるような経済指標も予定されていない。関税交渉に関するトランプ米大統領の発言に加ドル相場が振らされる展開は続きそうだ。なお、カナダ政府は4日に予算案を発表し、今年度の財政赤字が前年度の倍以上に拡大することが明らかとなった。トランプ関税への対策や貿易分散化への支出、また国防費の増額が赤字拡大の主な要因。赤字幅は市場予想の下限ではあるものの、加ドルの上値は追いづらくなるだろう。
11月3日週の回顧
ポンドはリーブス英財務相の予算案に関する演説に売りで反応し、対円では199円手前、対ドルでも1.30ドル手前まで下落した。日米の株式市場に下向き調整が入ったことも、リスク回避の円買いを強めた。ただ、週後半にかけて下げ渋ると、対円では201円台、対ドルでも1.31ドル台を回復した。加ドルも弱含み。対円では108円前半、対ドルで1.41加ドル半ばまで加ドル安が進んだ。米加関係の先行き不透明感が重しとなる中、カナダ財政赤字の拡大が嫌気された。市場全般のリスクセンチメント悪化も加ドル売りにつながっている。
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