リスク管理 ~まずは負けない投資家になろう~

講師紹介

小次郎講師(本名:手塚宏二氏)
株式会社手塚宏二事務所代表

プロの投資家として常にマーケットと対峙し40年以上の投資キャリアを持つ傍ら、チャート分析の第一人者として、投資セミナー、書籍などを通じて個人投資家向けの投資教育活動を精力的に展開している。これまでに対面で教えた受講生だけでも数千人を超え門下生からは専業トレーダーを多数輩出するなど、投資界において圧倒的な人気を博している。代表的な手法には「移動平均線大循環分析」「大循環MACD」「大循環ストキャス」などがある。

陽和ななみ氏
女優/投資家 株式会社手塚宏二事務所所属

映画や舞台、CMに出演する傍ら自身でも株や為替の取引を行うなど女優/投資家として活躍中。ファイナンシャルプランナーの資格を取得。4時間足のスイングトレードや日足での中長期投資を得意とし、目指すは投資や資金計画含めたお金のプロフェッショナル!ブログでは日々のトレードの様子を更新中。


今回のテーマは「リスク管理 まずは負けない投資家になろう」です。

まずはじめに言いたいのは、リスクをとらなければリターンを得られないという意味で、投資にリスクはつきものです。残念ながらノーリスクでリターンを狙うことはできません。「リスクがあるのは怖いなぁ」と思う方もいるかもしれませんが、今回のリスク管理を学べば、決して怖いばかりのものではないということが分かってもらえるかと思います。

ここで考えなければいけないのは「いかに適切なリスクをとるか?」ということです。
投資においては、利大損小、利益をできる限り伸ばしながら損失は小さく抑える、という考え方を身につけなければなりません。では、どうやって損失を抑えるのか。
ズバリ、ロスカットライン(損切ライン)を正しく設定することです。ロスカットラインというのは、自分の思惑が外れてチャートが逆方向に行ってしまった時に、決済する価格をあらかじめ決めた線(価格)のことです。これは仕掛けと同時に、設定しましょう。ただし、損失を小さく抑えるといっても、ロスカットラインを現在の価格に近すぎるところに設定すると、ちょっとした価格のブレ(ノイズ)ですぐにそのロスカットラインに入ってしまいます。

では、ロスカットラインはどこに引くのが適切なのか?
一時的なノイズでは引っかからない、しかしトレンドが反転したら素早く決済したい。その価格を探すのは非常に難しいですよね。そこで、皆さんもご存じかもしれませんが、過去に「天才投資家は教育によって生み出すことができる」と証明したタートルズの研究の知恵を借りましょう。
タートルズの研究によると一般的なノイズの幅は「2ATR」。ATRというのは前回の講義(「一番大切なのは資金管理!」)でもお話しした、一日の平均益な値動きです。ノイズの幅が2ATRであれば、そこに引っかからないようにロスカットラインを設定すればいいですよね。端的に言えば、2ATR以上反転すると、トレンドが変わった可能性があるので、素早くそこで決済しようということです。

ということで、適切なロスカットラインの価格の計算は、買いの場合と売りの場合でこのようになります。

このロスカットラインで決済した時、「失敗」だと思ってはいけません。利益を得るための必要経費だと思ってください。前回の資金管理のところでお話しした1ユニットの考え方を覚えているでしょうか?自分の投資用資金の1%をリスクにさらす取引量を1ユニットと言いましたよね?

では、投資用資金が100万円の投資家が、株でもFXでもいいですが1ユニットの買いポジションを持ったとします。思惑とはずれてチャートが下がってきてロスカットラインで決済されました。損失はいくらでしょう?例として図で表示しますね。

この時の損失は2万円です。投資用資金100万円の投資家にとって2%の損失です。1ユニットの計算式が「投資用資金の1%÷ATR」で算出されるので当然といえば当然なのですが、決して致命的な損失じゃないですよね?このくらいならば、思惑通りにチャートが動いたとき、取り返し、さらに利益を出すことは十二分に可能です。
なので、これは失敗と思わず、トータル利益にするための必要経費として受け止め、しっかりこのロスカットラインで決済出来た自分を褒めてあげてください。
実は、このロスカットラインで決済できないという方はすごく多いんです、価格がロスカットラインに近づいてきたら決済されるのが嫌でロスカットラインをズルズルと下に下げてしまう投資家もいますが、そうすると損失が大きくなってしまい、利大損小を実現できなくなってしまいますよね。

まずは、負けない投資家になるための第一歩として、平然とロスカットラインで損切できるようになりましょう。

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