FXで安定的に利益を出すのは難しいものです。ここでは、安定的に利益を出すための1つの方法として、FXの自動売買についてご紹介します。
FXの自動売買とは
FXの自動売買とは、あらかじめ決めた取引ルールをプログラム化し、自動的に発注を繰り返すことです。「システムトレード(シストレ)」と呼ばれることもあります。
FXは自分の判断で行う裁量トレードが一般的ですが、自らの投資判断で売買を行うこと(裁量トレード)で利益を出すためには相応の知識が必要です。
一方でFXの自動売買を利用すれば、あらかじめ決めた取引ルールで自動的に取引をしてくれるため、FXにそれほど詳しくなくても利益が出せる可能性があることから、最近はFXの自動売買に注目する人も多いようです。
なお、FX業界でシステムトレードと言えば「ツールを用いた自動売買システムであること」が主流です。また、初心者にも簡単に運用できる自動売買ツールが増えてきていますので、FX初心者でも安心してトレードができるでしょう。
自動売買のメリット
FXの自動売買について、主に5つのメリットをご紹介します。
取引のチャンスを逃さない
FXの自動売買はあらかじめ決められたプログラムが自動的にトレードしてくれるため、トレーダーは常にマーケットを見ている必要がありません。組み込まれたプログラムが取引チャンスだと判断すると、自動的にエントリーしてくれます。
為替は世界中で取引されているため、平日であれば、ほぼ24時間で為替レートが動いています。すべての取引チャンスを逃さないトレードをするためには、常に為替レートを見ている必要があるでしょう。
しかし、実際のところ、24時間ずっと為替レートを見守るのは物理的に不可能です。その点、FXの自動売買であれば組み込まれたプログラムが24時間にわたり為替相場を注視してくれて、かつトレードチャンスを逃さずつかんでくれます。
時間に余裕ができる
自分の判断で行う裁量トレードの場合、基本的にマーケットの状況について常に確認しておく必要があります。エントリーするタイミングを決断するほか、ポジションを保有している間も当然ながらマーケットを見ておかなくてはいけません。そのため、多くの時間をFXに費やすことになってしまいますし、場合によって日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。
一方、自動売買であれば組み込まれたプログラムが自動で取引してくれるため、トレーダーは常にマーケットを確認する必要がありません。時間に余裕が生まれ、他のことに使えるのは自動売買の大きなメリットと言えるでしょう。
精神的な負担が軽減される
常にマーケットを見ていなければいけないのは、精神的にもかなり大きな負担です。仕事中も為替レートが気になってしまうかもしれません。その点、FXの自動売買なら取引が自動で行われるため、こうした負担から解放されます。
分析や知識を必要としない
自分の判断で行う裁量トレードの場合、為替相場の分析や金融経済全般の知識が必要ですが、自動売買ならそうした詳しい分析や知識は求められません。ただし、精度の高いプログラムを選ばないと損失を負う可能性があるので注意が必要です。
ルール通りに取引できる
FXで勝つためには、自身で決めた独自のルール(トレードルール)などを守るのが非常に重要だと言われていますが、実際のところ、非常に難しいものです。なぜなら、人間は感情の生き物だからです。平時であればトレードルールが守れても、大きな負けが続いてしまうと感情的になり、トレードルールを破ったトレードをしてしまうケースもあります。自動売買であれば感情が介入しないため、ルール通りの取引が可能となるでしょう。
自動売買のデメリット
FXの自動売買のデメリットについて、ここで5つ取り上げてご説明します。
使用するプログラムによって相場の向き不向きがある
プログラムによって、得意なパターンと不得意なパターンがあります。そのため、相場動向によっては利用しているプログラムが合わない可能性があるでしょう。相場動向を見極めてプログラムを選ぶ必要があるのは、自動売買のデメリットです。
プログラムは日々進化するため永遠には使えない
FXの自動売買のプログラムは、世界中のプログラマーやFXトレーダーが日々作成しています。プログラムのレベルは進化を続けているため、現在利益が出ているプログラムでも未来永劫に利益が出るとは限りません。古くなったプログラムの場合、最新のトレード手法についていけず、損失を出してしまう可能性があります。つまり、FXの自動売買で安定的に利益を出すためには、常に最新のプログラムを確認する必要があります。
ファンダメンタルズに弱い
FXの自動売買はテクニカル分析を基本としているため、ファンダメンタルズについては重視していません。為替相場はファンダメンタルズによっても大きく動くことがあるため、この点は自動売買のデメリットとなるでしょう。
相場が急変しても対応できない
FXの自動売買プログラムには日々の相場動向を学習するものもありますが、一定のパターンにならないと力が発揮できないプログラムもあります。そのようなプログラムで取引すると、相場が急変した場合に対応できなくなってしまうでしょう。
設定が難しいことがある
プログラムによっては、設定が非常に難しいものもあります。簡単に設定できないプログラムは初心者などにとって扱いにくく、デメリットに感じるかもしれません。
自動売買に向いている人
どのような人が自動売買に向いているのか、主に3つのタイプをご説明します。
・時間がない人
仕事や家事に忙しくてなかなかFXに時間を当てられない方は、自動売買に向いています。決められたプログラムが自動的にトレードしてくれるので、時間がなくても問題なく利用できるからです。
・裁量取引が上手くいっていない人
多くの方は、裁量取引でFXを始めるでしょう。しかし、裁量取引で利益を出すためには、FXはもちろん経済や金融全般の知識も必要です。一方、自動売買はプログラムが優秀であれば、トレーダーに知識がなくても利益が出せます。裁量取引が上手くいっていなければ、自動売買を検討してみると良いでしょう。
・コツコツ稼ぎたい人
安定して稼ぎたい方も自動売買に向いています。なぜならFXの自動売買は、人間と違って感情が入らずルール通りにトレードしてくれるからです。大きく利益を出すのは難しいかもしれませんが、コツコツ利益が狙えるプログラムはたくさんあります。
自動売買ツールの種類
自動売買ツールには、主に「開発型」と「選択型」という2つの種類があります。各ツールの特徴は以下の通りです。
プログラムの種類
自動売買のプログラムには、主に「プログラム型」「リピート型」「トレーダー型」という3種類があります。それぞれ特徴について理解しておきましょう。
用語集
自動売買に関して覚えておきたい、主な用語をまとめました。
まとめ
FXの自動売買についてご説明しました。FXの自動売買は、トレーダーにFXに関する知識がなくても利益が出せるトレード手法です。裁量取引が上手くいっていない、あるいは時間が限られている方にとっては、特にメリットが大きいでしょう。ご説明した内容を参考にFXの自動売買について理解を深め、ご自身の投資に役立ててください。
監修者プロフィール
渡辺 智(ワタナベ サトシ)
FP1級、証券アナリスト。
<プロフィール>
大学商学部卒業後は某メガバンクに11年勤務し、リテール営業やプライベートバンカー業務、資産運用コンサルティング(投資信託、保険、債券、外貨預金など)、融資関係業務(アパートローン、中小企業融資)などを経験。銀行在籍中、2度の最優秀営業賞を受賞。銀行在籍時の金融商品販売額は500億円を超え、3000人を超える顧客に金融商品営業を行う。その後、外資系保険会社でコンサルティング営業として従事し、現在は業務経験・知識を活かして金融ライターとして独立。難しい金融を分かりやすく伝えることをモットーに活動中。